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TRPGエッセイ
 日々是RPG

10.私的大事件発生!〜劇的人生も悪くない〜
  

 このエッセイもついに10回目を迎えた。しかし、その記念すべき10回目の物語は、TRPGとは全く関係ないところから始まる。



 微妙な話題で恐縮だが、女性には月に一度、必ずお付き合いせねばならないものがある。貧血にはなるし、お腹は痛いし、それはもう厄介な代物なのだが、なければないで大問題である。それが未婚の若い女性ならばなおさらだ。



 とまあ、こんなことを書いたのは、決して私の身の上話が目的ではない。前回のラストで、「とあるみなとまちの発行をほんの少し滞らせた大事件」と書いた。

 これがつまりは、私の妊娠だったわけである。

 妊娠が発覚したのが1月。それから何やかやとあって、私と神塚翁はその年の3月に無事結婚した。

 それを機に、翁っちは決意する。



「わしも所帯を持って、いよいよ落ち着かなきゃいけないぞな。かくなる上は、TRPGをやめて真面目に働くぞな!」



 その覚悟を実行に移すため、まずはリーダーの座を七支弼に移譲した。

 しかし、現在のリーブルアルビートルの代表者名を見て分かるとおり、その覚悟も結局実を結ばなかったわけであるが、そこはそれ、適材適所という言葉もある。それに、結局翁っちは手の施しようのないTRPG中毒者であった。その彼が、どうしてTRPGをやめられようか?



 ともあれ、「とあるみなとまち」発行を最後にリーブルの活動をやめるはずだった私達夫婦は、いまだに毎週TRPGに没頭している。



 さて、話が少し逸れた。

 私の妊娠が問題になったのは、やはり「妊婦には時間的な拘束がある」ためである。

 出産予定日は9月10日。それまでの間に、私は全ての原稿を終えなければならないのだ。出産直後にまで原稿を描けるほど、私に根性はない。いや、文章なら書けたかも知れないが、イラストレーター一本だった当時の私は、きちんと付けペンでイラストを描いていたのだ。インクで真っ黒になった手で子供を抱っこするわけにはいかない。



 しかし、そのためには挿絵を入れる原稿が完成している必要があった。作業の内容によっては、ひたすら他人の作業が終わるのを待ち続けなければならない、というのが、集団作業の最大の難点である。

 前回も語ったとおり、作品を作るためにはリプレイの収録が最優先である。翁っちは重い腰を上げ、ついに記念すべき「とあるみなとまち」のリプレイを収録した。



 その名も「さんまのひらき」である。



 ……とあるみなとまち本誌のリプレイとはタイトルが違うぞ、というツッコミをいただけたなら、あなたも結構なリーブルフリークですね(笑)。

 そう、実はあの本に収録されているほのぼのリプレイ「五人のゆうしゃ」の前に、幻の名作が存在したのである。

 私もプレイヤーとして参加し、大変面白かったその物語は、テープレコーダーの異常という何ともやりきれない事情によって作品化が不可能となった。



 リーブルのメンツはTRPGに対して非常に貪欲である。たとえ面白かった物語でも、同じシナリオを二度もプレイするつもりはさらさらない。

 かくして、神塚翁を散々苦しめた「とあるみなとまち」のリプレイ収録は、「五人のゆうしゃ」の完成をもって無事終了したのである。



 ただ一つだけ、どうしても悔しかったのは、その収録が私の出産時期とほぼ同時に行われたことで、TRPGが出来ない欲求不満が極度に高まったことを覚えている。しかも、確か翁っちに八つ当たりしたような気がする。思えばひどい妻である。



 ともあれ、とあるみなとまちの製作は順調に滑り出したかに見えた。が、結局全員の原稿が出揃うまでに大変な日数がかかり、着手から一年以上を経て、ようやくこの本は日の目を見ることになったのであった。


 

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