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TRPGエッセイ
 日々是RPG

5.TRPG人間・氷山りょうのできるまで〜はじめてのぷれい〜
 

 回を重ねること5回。

 TRPGのエッセイのくせに、ようやく本当にプレイをするところまで漕ぎつけました。

 しかし、そこは何と言っても「初めてのプレイ」。

 今思えば恥ずかしい限りの一本道シナリオで、本当ならこんなところで公開するのは気が引けるのだが、恥部を晒さずに何がエッセイ。



 そんなわけで、二人の友人をうまいことつかまえた私は、日曜日の昼下がり、彼女らを自宅に招いてプレイを開始したのであった。



 読者諸氏のために、まず背景世界を説明しておこう。



 舞台は、どこかにある(そんな細かいことは全く決めていなかったが、日本語圏であることは確か/笑)魔法学園。そこは小中高、さらに大学と大学院まであるマンモス校で、高校くらいから「総合魔法科」とか「召喚科」とか専門コースが分かれている、という設定だったと思う。

 主人公たちはその高校の生徒。コースごとに分かれているものの、総合授業があるため、他コースとの交流もある。

 そして、その主役格であり、実は魔界からの留学生である御前崎結城(おまえざき・ゆうき)、その友人で落第スレスレの君太郎(きみたろう)、彼らを事件に巻き込むトラブルメーカーで、自分でも制御できない強力な力の持ち主である召喚科の逢津(あいつ)先輩、逢津先輩の幼馴染で君太郎の憧れの君・八津(やつ)先輩、御前崎の護衛でお目付け役の象麻(きさま)くん、エルフで精霊魔法科のソナタ先生など、彩り豊か(名前はともかく)なキャラクター達がいるのだ。



 この学校での物語のパターンは、逢津先輩が問題を起こし、御前崎たちが必死に尻拭いする、というもの。実に分かりやすい。

 そのため、私は今回、召喚科の先輩で落第寸前の逢津が、召喚術のテスト中に魔法を暴発させて、学校の地下に強力な魔物を召喚してしまったことにした。

 もちろん、その魔物が地下のどこにいるのかは分からない。学校の地下は、学生の鍛練の場として開放されているため、巨大な迷宮になっているのだ!



 つまり、ダンジョンものですね。やはり、初心者はダンジョンから入るのがセオリーなのでしょうか。



 そして、二人が地下迷宮に放たれた魔物を倒しつつ最深部に辿り付くと、そこには逢津先輩を恋のライバルと付け狙う、幻影魔法科卒の教育実習生・曾知(そち)先生がいて、召喚術を行った後で疲れきっていた逢津先輩を捕らえていた。出現した魔物は実は先生の幻影術によるもので、逢津先輩の魔法は誤ってこの人を召喚してしまったのである。



 結局、方向音痴のために地下迷宮から脱出できずにいた曾知先生と、爆睡している逢津先輩を連れ、職員室に戻ると、ソナタ先生が二人を引き取り、逢津先輩にこう言うのだった。



「召喚術の先生が、これから君の再試験をすると言ってたよ」




 ……。



 ……。




 ええと、まあ、何と言うか、やはり恥ずかしいのである(笑)。

 背景世界が完全にライトファンタジーだったため、当時の私なりにちゃんとオチをつけようとしていたのだと思われる。

 しかし、いまや全くライトファンタジーなんかやらなくなった私も、当初はライトファンタジーのGMをやっていたんだな、と思うと、何だか感慨深い。

 まあ、初めてのシナリオからすでに「ラスボスとは戦わない」という道を選んでいたあたり、私は始めからややストーリー偏重気味だったのだろうか。



 プレイが終わるまでにおよそ2時間。

 プレイヤー二人で上記シナリオでは時間がかかりすぎ、との声も聞かれそうだが、何しろGMもプレイヤーも超ド級の初心者なのだ。しかも、選んだシステムがよりによってGURPSである。よほど参加者がルールに慣れていないと戦闘がなかなか先に進まないシステムなのだ。

 結局「あ、ダメージ受けたのにペナルティ忘れてた」とか「魔法の距離、届いてなかったかも」とかいう事件もあったが、そこはそれ、元々戦闘はシナリオのエッセンスだったので、お互いの多少のミスは多目に見る(というか、いちいち指摘しない)ことにしたのだった。



 不安だらけのマスタリングだったが、自分達で作った背景世界で、御前崎と象麻をPCに選んだためか、二人は結構楽しんでくれていたように思う。少なくとも、「またやっていいよね?」という誘いを断られなかったのが救いであった。



 しかし、私はそもそもの始めから、この世界でキャンペーンを組むつもりはなかった。だって、シナリオのパターンが決まってるんだもん。

 それに、二人のプレイヤーにもこちらが提示したキャラクターじゃなく、自分の好みのキャラをやってもらいたい。



 第1回目のプレイを終え、私は確実にTRPGに対して貪欲になっていた。

 プレイ中ほとんど手をつけなかったお菓子をぱくつきながら、私たちはもう一人、すでに進学が決まっている友人(こいつも同人仲間)にも声をかけることにした。

 人数が増えるに越したことはない。なんたって、次は本格的にオリジナルの世界で遊ぶつもりなのだから。



 そんな私の野望に気づく様子もなく、二人はキャラクターシートに描かれた如月嬢の美しいイラストを話題にはしゃいでいるのだった。




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 その後も、私は仕事が始まるまでの春休みをフル活用し、友人達とテーブルトークに勤しんだ。オリジナルの舞台で遊ぶのに、結局どうしても欲しくなって「ガープス・マジック」を買い足し、その後もどんどんサプリメントに金をかけていったが、毎日のお勤めが始まると、そうそうテーブルトークばかりしているわけにもいかず、私は必死で仕事を覚えながら、いつかやることがあるかもしれないシナリオを書き溜める作業に没頭した。



 そう、その時には既に、私はこの世界から足を洗うことが出来ないほどテーブルトークに夢中になっていたのである。

 こうして現在のTRPG人間・氷山りょうの素地は作られた。

 しかし、この時の私はまだ、本当の楽しさを理解していたわけではなかった。



 そして、そろそろ梅雨も近いその年の6月4日(日)。

 私はついに、彼らと遭遇してしまったのである。


 

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