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| TRPGエッセイ 日々是RPG |
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2.TRPG人間・氷山りょうのできるまで〜雑誌はどこだ!〜 |
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翌日、私は学校が終わるとすぐに、当時学校に一台しかなかったショッキングピンクのチャリ(これがまた恥ずかしいの何の)を走らせ、近くにある小さな本屋に立ち寄った。 しかし、ゲーム関係の雑誌を買うなど生まれて初めての体験である。これまで買ったことがある雑誌と言えば、ジャンプに別マにRay……。だから、当然雑誌の発行日がいつなのか、私には知る術がなかった。 とりあえず、「テーブルトークRPGがよくわかる本」の巻末に書かれていた雑誌のタイトルを丸暗記してきたので、早速店頭に並ぶ大量の雑誌と照合を始める。 ……ない。 同年代の男の子達の間で控えめに目を走らせた書棚には、見覚えのあるタイトルは一つもなかった。考えてみれば、私は発行日までチェックしていたわけではない。今のようにインターネットも発達しておらず、ちょちょいと調べることが非常に困難な頃のことである。 結局その日は近所にある何軒かの書店を覗き、完全に撃沈して、すごすごとバイトに行くしかなかった。 私の「TRPGやってみたい熱」はいささか冷めたものの、ここで諦めてはあの本を買った意味がない。貧乏性の私はムキになっていたらしく、バイトのない日を見計らって、長町にある学校から仙台駅までチャリを走らせた。 地元の方にはご理解いただけるかと思うが、途中の坂が割と辛いのである。しかも、私の愛車に変速などという高級なものはついていない。冬のさなか、額に汗して仙台駅にたどり着いた私は、違法駐輪の山の中に自分のチャリを紛れ込ませ(犯罪です。でも、もう時効だよね?)、早速一番近い本屋に飛び込んだ。 たまたま先日見た本屋になかっただけなのか、それともあの後発行されたのか、見覚えのあるタイトルが目に入ったのはその時である。 「コンプRPG」。 今はもう廃刊になっているかと思う。当時、GURPS/ルナル・サーガのリプレイや、新双月英雄伝ダブルムーンとかいう戦隊モノっぽいのなんかが載っていた雑誌であった(これで年がバレたな……)。 他に雑誌は見当たらない。それに、これは確か隔月誌である。 私の少ない小遣いでも毎号買えるではないか! ……ケチ臭いとか言わないでください。仕方ないんです。月4000円の小遣いでやりくりしながら、同人誌作ってたんですから。バイト代は就職時の諸費用に当てなきゃいけなかったし。 私は早速「コンプRPG」(確か表紙は紫色ベースだったと思う……)を買い入れ、これも地元民なら分かる新寺通りの坂を滑るように駆け下りて、家路についたのであった。 そこからおおよそ25分。自衛隊の飛行場近くにある自宅(これで大体の位置関係がお分かりになる方もおられよう)に辿りつくと、制服を脱ぐのももどかしく、机の上に散らばった漫画の原稿を押しのけて、生まれて初めて接するゲーム雑誌を開いた。 ……が、没頭し始めたのもつかの間、夕飯の支度を手伝え、と母が乱入。仕方なく、この楽しみは後回しとなった。 結局「テーブルトークRPGがよくわかる本」同様、夕飯の片づけが終わり、風呂に入ってから改めて読み始める。やはり、雑誌は布団で転がりながらまったり読むのが一番だな、と自分を納得させつつ。 とはいえ、別にまったりするために買ったものではないので、私は布団の上に座って爪を切りながらページをめくった(お行儀きわめて悪し)。 困ったのは、リプレイ類がほとんど続き物で、読み切りらしきものがなかったことだった。それでも何とか巻頭の特集やリプレイなどをよみ、巻末の広告まで熟読する。 そして気づいた時には「やや冷めかけたTRPG熱」は再びヒートアップしていた。 「テーブルトークRPGがよくわかる本」に取り上げられていたのはロードス島コンパニオンだったが、やはり雑誌だけあって、様々なルールが取り上げられている。中でも一番大きく扱われていたのが、当時ちょうどエフィがノイエやリーシャ達と冒険してた「ガープス・ルナル」だった(分からない方はリプレイなどお読みください。面白かったです)。 GURPSには、ロードス島コンパニオンにはなかった(ロードス島RPGには追加されてますが)「技能」というのがあって、これでキャラクターをカスタマイズしていくらしい(他にも特徴とか癖とか色々あるけど、ここでは大雑把に。ルールを説明するエッセイではないのでご了承ください)。 戦士とか魔法使いとかいうカテゴリーにとらわれず(バランスは難しいけど)、好みのキャラクターを作ることが出来るのだ。 ぶっちゃけた話、私が今まで考えたオリジナルのキャラクターがリアルに数値化できちゃうのである。 しかも基本ルールは汎用らしい。慣れてくれば、自分好みの世界で遊べるということだ。 これが私のツボを刺激した。 これだ。とりあえず、こいつを買ってみよう。 そしてテーブルトークをするのだ! ……今思えば、どうしてこんなに強烈に「やってみたい」と思ったのか分からない。就職が決まって暇だったからだろうか。同人誌を作るのに慣れてきて、徹夜をしなくなったからかも知れない(いや、授業中に平気で原稿描いてたが)。 そう、かつて大晦日をはさんで3日、徹夜で原稿を描き続け、プラスチック製の軽い受話器が持ち上がらなくなるまで頑張ったあの情熱(?)が、私の中にはもうなかったのである。人間、本当に好きなことのためなら寝なくても平気だが、そうでなければ徹夜なんかしようとも思わないのだ。これは読者の皆様にもご理解いただけるところだろう。 私は再び雑誌の巻頭からぱらぱらとめくり、その内に没頭し、時計が午前3時を回っているのにも気づかずに読み続けた。 読めば読むほどやってみたくなる。麻薬のようなゲームである。 明日はルールを手に入れて、早速TRPGをするのだ! 私は期待に胸を膨らませつつ、いつの間にか雑誌の上に突っ伏して眠りに就いていた。 そして翌朝、思い切り寝坊をして学校に遅刻したのは言うまでもない。 |
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